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美女と時計/フランク ミュラーを身につけた笑顔が素敵な奥様

レオナルド・ダ・ヴィンチが遺した「フラワー・オブ・ライフ(生命の花)」と呼ばれる複数の円を数学的に構築した模様をモチーフにした線画を背景に、可憐なムーンフェイズ付きの時計が並ぶ女性的なビジュアル。今年のSIHHで発表されたIWCの新作「ダ・ヴィンチ・オートマティック・ムーンフェイズ 36」の広告を某女性誌で見た時、時代のニーズの移り変わりに驚いたものだ。かつてIWCといえば「男のための時計」をスローガンに掲げ、マニッシュで機能的、あるいは複雑機構を搭載したシリーズをずらりとラインナップに並べていた男性的なブランドの代表格であり、もちろん今もなお、主要顧客は男性だ。ではなぜ、女性市場に目配せをせず、メンズモデルの開発に特化してきたIWCが方向転換へと舵を切ったのだろうか? 日本法人のIWCブランドCEOを務めるマニュエル・ブランデラ氏に聞いた。


「正確に言うと、転換ではなく、一種の原点回帰ですね」


 ブランデラ氏は言葉を選びながら、次のように回帰の状況を説明してくれた。つまり、IWCというブランドは1950〜60年代以降から今日まで、コンスタントにメンズ時計の売り上げが堅調であったため、製品開発もマーケティングもメンズ市場がメインの展開を続けてきた。しかし、その時々で女性に向けた製品もリリースしており(リトル・ダ・ヴィンチやインヂュニア・ミッドサイズなど)、強くはないものの、レディス市場への目配せを怠ってきたわけではないと語る。もちろん、IWCというブランドにとっては、とてもニッチなセグメントではあったが、市場をゼロにしたことはなかったという。


「本当のリスタートは2014年に発表したポートフィノ オートマティック 37」でしたとブランデラ氏は語るとおり、同年に香港で開催されたエキジビション「ウォッチズ&ワンダーズ」でIWCは待望久しいケース径37㎜の「真に女性に向けた」コレクションを発表したのである。18Kレッドゴールド4種類、ステンレススティール9種類という豊富なラインナップ。IWCの定番であるサントーニ製のアリゲーターストラップまたは女性的なミラネーゼブレスレットによって表情が一変するというとても拡張性のあるコレクションである。サンレイ仕上げが施された文字盤は、IWCらしく「トレンドをいたずらに追い求めない、長く使える実質的な」シンプルな仕立てだ。



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