時計好きならご存じかと思いますが、スイスのジュネーブに「アンティコルム」という時計専門のオークション・ハウス(競売業者)があります。創立は1974年といいますから、すでに30年以上の歴史があります。
このアンティコルムが、2007年4月に「オメガマニア」というオークションを開催しました。
これはその名のとおり、オメガだけにテーマを絞ったワン・ブランドのオークションでした。
このオークションの開催の知らせを受けたとき、僕がいちばん驚いたのは、「オメガマニア」という名称です。
日本では「マニア」という言葉は、「趣味に熱中している人」といった意味で、わりと普通に使われますが、欧米では、よほどのことがない限りつかわれないようです。
たとえばスイスを訪ね、時計会社の人との会話中、何気なく「日本の時計マニアは……」といった表現をつかうと、非常に怪訝な顔をされます。
どうやらあちらでは「マニア」というと「モノゴトに度を超して熱中し、かなりいっちゃった人」といったニュアンスらしいのです。
その「マニア」という言葉を、なんとアンティコルムがオメガ専門オークションのタイトルとして堂々とつかってきたこと。それが僕を驚かせたのです。 |